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2025/11/30: GUITAR 全曲解説



はじめに


罅のカヤハラ(Gt.Vo.)です。今日はGUITARの全曲解説をしようと思います。よろしくお願いします。


GUITARクロスフェード動画です。静岡遠征vlog風。


罅について


「ひび」と読みます。都内で活動しているオルタナティブロック/ギターロックバンドです。
大学時代の軽音サークル仲間で、社会人になってしばらくしてから結成しました。
2024年に活動開始し、2025年1月に1stアルバム "Nothing Important" をリリース、2025年2月からライブ活動を開始しました。
また、2025年11月に初の自主企画 "何も無い日々から" を開催しました。
スタジオに入る頻度よりもボードゲームをする頻度のほうが高く、最近は「ルイス(LUZ)」というボードゲームがブームです。


hibi

中野深夜さんに撮っていただいた最高のアー写です。たぶんみんなのアソビ大全をやっているシーン。


GUITARについて


罅の「2nd Full Best Demo Album(自称)」です。主に2024年12月-2025年4月の期間に作曲した曲たちが収録されています。
今作に関しても俺が全曲の作詞作曲 & レコーディング & ミックス & マスタリングをしています。
罅の音源制作過程については罅の楽曲制作フロー紹介記事にて紹介しているのでよければぜひお読みください。

ジャケットはうぇんとさんにお描きいただきました。
以前からイラストが本当に好きでずっと拝見していたイラストレーターさんで、決心してご依頼させていただいたところご快諾いただき、本当に嬉しかったです。
ジャケットの素晴らしさについては、もう俺が語るまでもあるまい……。最高やね……。


guitar_jacket

マジで最高やね……。


全曲解説



1. GUITAR


俺はギターが本当に好きです。バンドというものも好きだし、音楽も大好きです。
その好きな気持ちや、曲や詞を書く者としての意気のようなものを衒いなく表現できたらと思い、作りました。
自分としては「突き刺すような光も / 引き裂くような孤独も / 注いだんだ全てを / 届け 届け」という最後のシンガロングが特に気に入っています。
この歌詞から "光と孤独" というモチーフを抜き出して最後の曲を書いたことで、アルバムとしての軸を通せたような気がします。

歌詞は井上法子さんの歌集『すべてのひかりのために』から大きく影響を受けました。
特に「陽に透かす血のすじ どんな孤独にもぼくのことばで迎え撃つだけ」という一首が、このアルバム全体の歌詞の根源になっていると思います。
この短歌の「小さくも確かな身体性と、自分の持つ武器(ことば)によって、孤独を迎え撃つ」という構図が、アルバムの歌詞を書く上でずっと脳内にありました。
井上法子さんの短歌はどれも本当に好きで、歌詞を書く上でかなり参考にさせていただいています。

GUITARというアルバムがギターの全弦開放で始まるの、いいよな。


ukulele

子供の頃、旅行先でウクレレを買ってもらって喜んでいる俺です。


影響を受けた曲


2. UNDRUNK


タイトルは「素面」という意味の英単語です。
今年の春ごろに高校時代のバンドメンバーたちと久々に飲んだ際、自分史上最高レベルに泥酔してしまい、そこからなぜかこの曲ができました。
風呂場で朝まで寒気と消化器の痙攣で震えていました。お酒コワイ……。

歌詞は果てしない社会生活のしんどさみたいなものについて書きました。
自分は今社会人7年目?なんですが、この仕事?っていうのはいつ?まで続くんですか?
誰か教えてください。


shimada

3月のライオンの島田開と社会人としての自分を重ねながら歌詞を書きました。


影響を受けた曲


3. 朧


1stアルバム完成後、「そういや三拍子やってないな」と思って書きました。
残響系の三拍子曲が本当に好きなのですが、それらをただなぞっただけの曲にならないようにリズムパターンを工夫しました。
その結果として、レコーディングのときにみんながヒィヒィ言ってました。ごめん。

この曲はデモ段階では「龖」(龍を2つ横に並べた字)というタイトルで、
メンバーから「ツイドラ(ツインドラゴン)」「ダブドラ(ダブルドラゴン)」などと呼ばれ親しまれていたのですが、
サブスク申請時に弾かれて入力できず、泣く泣く「朧」に改名しました。
皆さんも難読漢字の曲名をつけるときは気を付けてください……。

歌詞は「ある日伝説の龍を見た少年が、それを誰に話しても信じてもらえず、誰かに伝えるために自分が見た龍の絵をひたすら描き続ける」という物語をイメージして書きました。


oboro

ジャケットは花火ドラゴンです。顔部分は俺が書きました。


影響を受けた曲


4. 導いてくれ


この曲だけは罅結成以前に "茅原佑介" という俺の個人名義でリリースした曲で、俗に言うセルフカバーです。

この曲を書いたころは社会人になってしばらく経ち、バンドからも離れていた時期でした。
それなりに生活をうまくやってはいたものの、昔の友人たちが良いバンドを組み、良い曲をリリースしている姿を見るとうまく表現できない気持ちになることが多々あり、
そんな中で仕事しかしていない自分を見て、「自分は何をやっているんだろう?」と感じ、マジで導いてくれ~~という気持ちで書きました。
この曲を聞いたオサダから「バンドやらないんすか?」と言われたのが罅結成のきっかけの一つでもあり、罅としてこの曲をカバーできるのはなんだか感慨深いです。

原曲のリードギターはhitoshikoという旧友が最高のフレーズを作ってくれ、今回はそのフレーズをヒラコが完璧に再現してくれました。
このフレーズマジでかっこよすぎる。ヒラコもフレーズに感銘を受けていて勝手に誇らしい気持ちになりました。
hitoshikoマジでありがとう……。


michibiki

導きを求めていた俺のTwitter。


影響を受けた曲


5. 動け


完全にヱヴァンゲリヲンです。どうもありがとうございました。

ロボットアニメ(というと怒られるが)で頻出する、主人公がロボットに対し「動け!」と叫ぶシークエンスって良いですよね。
月並みな解釈ですが、これらのアニメにおけるロボットは主人公にとって「自分が操作するという内的でありながらもコントロールすることはできない外的な存在」であり、
これらのシーンは「人間と機械」、「恐怖と勇気」、「生と死」といった二項対立を象徴していると思います。
敵を前にロボットがうまく動かなくなり、主人公が「動け!」と叫ぶのはそれらの葛藤の表れであり、ベタな展開ですが胸が熱くなっちまう、ってワケ……。


baletmechanique

完全にエウレカセブンです。どうもありがとうございました。


影響を受けた曲


6. WINDBREAKER


「ウインドブレイカー」ってかっこよすぎるよな、「ウインドブレイカー」ってかっこよすぎる。
いつも犬の散歩をしているとすれ違う、ウィンドブレイカーを着て走り去る老夫婦がおり、「かっこよすぎるな……」と思って書き始めました。

歌詞は中学時代に数回だけ自転車通学したときのことがモチーフになっています。
普段は電車通学だったのですが、東日本大震災の影響で電車が止まっていた期間がありました。
そのときに朝5時出発 & 山越え & 17kmチャリ爆走して通学しており、かなりキツかったのですが走っていると妙にハイになっていく感覚があったのをよく覚えています。
その記憶をもとに、この歌詞を書きました。

ジャケットはこの撮影のために下北沢でウインドブレイカーを買い、ヒラコに着せて代々木公園を走り回ってもらいました。
ありがとうヒラコ。ナイスランヒラコ。


windbreaker

さすがにボツになったジャケット案。


影響を受けた曲


7. 二日月


エレピって良い。エレピってマジで良い。マジでエレピ好きだ。
GUITARというアルバムで話す話ではないが、俺はエレピが本当に好きです。
こんなにもエレピが好きなのに鍵盤が弾けないことが悩みでしたが、数年前から地道に練習し、こうやって曲としてリリースできるところまで来ました。
自分が鍵盤を弾いてバンドと合わせる初めてのタイミングがこの曲のレコーディングだったため、マジで緊張しました。俺のたどたどしいピアノを聴いて下さい。

歌詞は羽海野チカさんの漫画『ハチミツとクローバー』より、真山とリカの北海道旅行をモチーフに書きました。
あのパートいいよね……マジで良いよね……。
真山とリカの関係において頻繁に表れる月というモチーフを借りて、真山の視点からリカを描いています。
「それでも君はきっと / 向こう岸から目を離せない」←それは本当にそう。


konatsu

曲名は加藤小夏さんの写真集から拝借しました。


影響を受けた曲


8. 忘れられない 思い出せない (feat. ゆいにしお)


ゆいにしおへ いつもありがとう カヤハラより。
ゆいにしは大学時代の軽音サークルの後輩で、爆裂に良い曲を書き、鬼のように良い歌を歌うシンガーソングライターです。
自分の音楽人生においてもめちゃめちゃ大きな影響を受けていると思います。
とりあえずまずゆいにしお「セルフハグ・ビッグラヴ」を聴いてください。

曲については自分の中のインディーロック(というかYuck)が好きな部分が出た曲な気がします。
作曲時にいまいち良いコードワークが浮かばず悩んでいたのですが、そのタイミングでメコンと知り合い、その影響でAメロのコード進行をガラッと変えました。
鶴岡へ いつもありがとう カヤハラより。

MVもめちゃめちゃ良いものができました。オサダが撮影&編集を手掛けてくれてます!罅の映像柱です。
真夏に海辺で炎天下の撮影を決行したとき、ゆいにしが塩タブレット持ってきててウケました。オカンすぎる。


真夏に熱中症になりかけながらみんなで撮ってオサダが作り上げてくれたMV


影響を受けた曲


9. 花發けば


「はなひらけば」と読みます。
この曲の原型は罅結成以前に作っていたもので、なんとなく寝かせておいたのですが、このタイミングで罅曲となりました。
歌のキーがいまいちしっくり来ていなかったのですが、サビで短3度上に転調する形で強引に解決しました。
アルペジオ弾きながら歌うのがかなりしんどく、ライブでやりたくない曲No.1です。

アルバム収録にあたり、ガットギターを主体にしてアレンジし直しました。
俺はガットギターの音色が本当に好きで、GUITARというアルバムを作るにあたりガットギターを登場させないのは嘘やろ、という気持ちでアレンジしました。
今回使ったガットギターは10年近く前?に中古で数千円くらいで買ったものなのですが、かなり愛着があってずっと使っています。
もう傷だらけ(なんならボディに穴が開いている)ですが、なんだかんだ良い音がするため、今回は音源にも使いました。

曲名や歌詞の元ネタはみんな大好き于武陵『勧酒』です。
アジカンの「ソラニン」や米津玄師氏の「花に嵐」など、勧酒モチーフの曲は数多く存在するものの俺は書いたことがなく、なんだかんだ今回が初めての挑戦になりました。
「足りないものとありすぎるもの / 分け合えない僕らの手の中」というフレーズが気に入っています。


hana

ガットギターのケースを持っていないので、引っ越しの時は手で持って移動しました。


影響を受けた曲


10. wakare no kisetsu


奇妙な曲ができてしまいました。
作曲するときにClimb the Mind的な前半と、エモ歌モノ的な後半のつなげ方に悩んだ末、なぜか「ネオソウル風のギターソロでつなぐ」というアイデアが生まれてこうなりました。
急にスクエアなリズムからシャッフルになり、ネオソウルかぶれみたいなギターソロが入るのがかなり謎ですが、悪くないんじゃないかという気がしています。
エセネオソウルパートのギターソロはヒラコが「これは無理」とパスした結果俺が弾いています。
自分はこういうオサレギターが好きなのですが、罅とは音楽性が異なり活用する機会がなかったところを、今回はじめて日の目を見ることができてうれしいです。
本当はもっとリードギターでファンクセッションとかをしたいんですよな。

歌詞は学生たちをイメージして「別れの季節」について書きました。
学生時代は「予め決められた終わりが、その場にいる全員に対して、同時に来る」という点でかなり特異な時間だと考えています。
自分が学生だったときも、楽しいときも辛いときも「これは予め決められたタイミングで終わる」ということが常に頭の片隅にありました。
その終わりをイメージして不安になるときもあれば安心するときもあり、その感覚をもとに歌詞を書きました。


今頃は 終わりの季節


影響を受けた曲


11. 光と孤独


この曲はもともと収録される予定はなかったのですが、何かの帰りの電車でヒラコと「BUMPのflyby的ポジションの曲が欲しい」と話したところから生まれました。
レコーディング直前に急遽制作したため、デモ段階からメロディが完全に変わるなど、かなりバタバタで完成させた記憶があります。
しかしこの曲がアルバムのラストとなることで、アルバム全体に一本の筋を通せたような気がします。 アルバムループで聞くとこの曲の最後のフィードバックから、一曲目GUITARの最初の全弦開放に繋がるように設定しています。
"GUITAR" というアルバムタイトルにふさわしくなるよう、自分の思うギターのかっこよさを全部出せたら、と思って作りました。


guitar_jacket_mini

歌詞はアルバムジャケットを見ながら書きました。


影響を受けた曲


結び


自分の好きなギター、バンド、音楽に対して素直に向き合ったアルバムができました。
各種サブスクリプションサービスで配信中ですので、ぜひ聴いてみてください。
罅 "GUITAR"